食品添加物とは
食品添加物は、食品の製造過程で、食品の加工、保存の目的で使用されています。
古来から人々は食品の腐敗を防止し、安定的に食を得る手段として、様々な食品の保存方法を編み出してきました。それらの保存方法は、乾燥、塩漬け、砂糖漬け、酢漬け、燻製など、その土地の気候や季節、食品の種類などで発展してきており、水分活性の低下、pHの制御など昔の人々の知恵が垣間見られます。
保存技術や機械産業が発展してくると、より簡単に、より安く食品が保存できるようになり、さらには輸送技術が向上することで、その土地では得られない食品が季節を問わず手にすることができるようになりました。
現代社会においては、核家族、共働きが増え、より簡単に食事が摂れる加工食品がなくてはならない存在になっています。さらに食に”おいしさ”と”健康”を求める傾向があり、従来のような保存方法では(塩分が多すぎて)塩辛い、(酢が強すぎて)酸っぱい、健康に悪いなど、満足できない技術になっているものも存在しています。このよう背景から現在では、保存技術+αの技術によって食品の保存は成り立っています。
たとえば、梅干しは従来20%の塩分濃度であったため常温保管が可能でしたが、現在では10%未満の減塩梅干しが主流となっています。輸送技術、冷蔵保管技術の発達により、10%未満の梅干しであっても腐敗することなく各家庭に届くようになりました。
また、家庭で作られていた食品がスーパーやコンビニエンスストアで購入できる(販売される)ようになり、これまで保存技術とは無縁だった食品も保存技術を使用する必要が出てきました。
しかしながら、このような食品は素材の味を食していたため、従来の保存技術では全く違う味の食品に変化してしまいます。このことから、味に影響しない保存技術が望まれるようになっています。
その一端を担うものが食品添加物です。
極微量の添加によって、味を変化させず、食品の保存もできる技術の進化といえます。
食品を美味しく、安全に食するために必要な技術と考えられます。
食品添加物とは、食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するものです。
下記の種類等があります。
種類 | 目的と効果 | 食品添加物例 |
甘味料 | 食品に甘味を与える | キシリトール アスパルテーム アセスルファムカリウム |
着色料 | 食品を着色し、色調を調節する | 食用黄色4号 ウコン色素 カラメル |
保存料 | カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性をよくし、 食中毒を予防する | ソルビン酸 ポリリジン |
増粘剤 安定剤 ゲル化剤 糊剤 | 食品に滑らかな感じや、粘り気を与え、分離を防止し、 安定性を向上させる | アルギン酸ナトリウム カルボキシメチルセルロース グァーガム |
酸化防止剤 | 油脂などの酸化を防ぐ | アスコルビン酸 ミックスビタミンE チャ抽出物 |
漂白剤 | 食品を漂白し、白く、きれいにする | 次亜硫酸ナトリウム 亜硫酸ナトリウム |
香料 | 食品に香りをつけ、おいしさを増す | レモン香料 ケイ皮酸 バニリン |
酸味料 | 食品に酸味を与える | クエン酸 乳酸 リン酸 |
調味料 | 食品にうま味などを与え、味をととのえる | L-グルタミン酸ナトリウム 5'-イノシン酸二ナトリウム |
苦味料 | 食品に苦味を与え、味をととのえる | カフェイン |
かんすい | 中華めんの食感、風味を出す | 炭酸カリウム リン酸三ナトリウム |
膨脹剤 | ケーキなどをふっくらさせ、ソフトにする | 焼ミョウバン リン酸一水素カルシウム 炭酸水素ナトリウム |
乳化剤 | 水と油を均一に混ぜ合わせる | グリセリン脂肪酸エステル ショ糖脂肪酸エステル |
豆腐用凝固剤 | 豆腐を作る時に豆乳を固める | 塩化マグネシウム グルコノデルタラクトン |
イーストフード | パンのイーストの発酵をよくする | リン酸三カルシウム 炭酸カルシウム |
ph調整剤 | 食品のphを調節し品質をよくする | DL-リンゴ酸 リン酸二水素ナトリウム 酢酸ナトリウム |
栄養強化剤 | ビタミン・ミネラル等の栄養素を強化する | クエン酸鉄 βカロテン |
発色剤 | ハム・ソーセージなどの色調・風味を改善する | 亜硝酸ナトリウム 硝酸ナトリウム |